少子化時代の音楽大学

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武蔵野音楽大学

一昔前までの音楽大学

一昔前は、音楽大学というと、武蔵野音楽大学を筆頭に入学するのに高いハードルがある場所でした。

受験したい大学は小・中学生など早い頃から決めておく。

その大学の先生のレッスンを定期的に受ける。

地方の子が東京の音楽大学に行きたい時は、新幹線や飛行機で、東京にレッスンに通う。

もちろん、そんな風に受験準備するには親の協力が不可欠ですから、そもそも子どもが小さい頃から「我が子を音大に入れたい」と思い、積極的に活動する保護者が多かったです。

少子化である現在の状況は、一変して、もっと一般へ門戸を広げて様々な受験生に来て欲しい方向へ変わっています。

もちろん上記のような従来の受験準備が必要な学校はまだ存在します。
特に上位校に多いでしょう。

しかし、本人が興味を持てば、親に専門知識がなくても受験準備する事が出来るようになってきました。

演奏で入学を希望する場合の方法

まず、演奏で入学を希望する場合は、大学が春や夏に行う「受験生用の講習会」を申し込み。

そこで、その大学の先生と知り合い、直接レッスンを受けることが出来ます。

その先生と相性が良さそうでしたら、今後も個人レッスンも続けたい旨伝えて交渉する事ができます。

あまり合わなそうな先生とのレッスンだったとしても、大学とのコネクションは作る事ができますのでがっかりする必要はないです。

そして入試の時期になります。

国公立や私立の上位校はあまり取り入れていないシステムですが、私立の中堅となると、AO入試で受験する人が大半になります。

以前は、受験の実技試験というと、試験官の前で一発勝負がほとんどだったのですが、AO入試では、数日間講習を受けて、そこでの頑張りによって合否が決まります。

実技内容だけでなく、やる気など精神的な面も加味してくれるので、一般入試で実技を受けるよりも、ずっと気軽に受験が出来るようになりました。

この様に、多くの音大が受験生確保のために採用した制度がAO入試ですが、さらに、各大学独自に工夫をこらしています。

上位校ですと、少子化になっても人気がありますので受験生は変わらず押し寄せるのですが、もともとあまり有名でない音大は更に受験生が減りましたが、そこで対策を練って大成功した学校もあります。

世界的に有名な演奏家を講師として迎えることにより、その演奏家にレッスンを受けたい受験生が殺到しました。

その結果、優秀な学生が多くなり、国際コンクールで優勝する学生も出てきて、大学の知名度もレベルも跳ね上がりました。

「特別演奏家コース」のように、演奏技術の高い学生はかなり好待遇を受けられるコースも誕生しました。

レッスン時間は通常の2倍、演奏の機会も多く、講師もかなりハイレベル、という条件なので、上位校で成績がそこそこで埋もれるよりは、そのような特別コースに入り、恵まれた環境で勉強することを選ぶ学生も増えてきました。

もちろん、そこまでの技術がない学生は、通常のピアノコースに入学する事が出来ます。

音楽療法の勉強が出来るコースが増えている

しかし、少子化の現在では、そのような演奏関係の学科だけでは学生数を確保する事が出来ません。

そこで、学科のバリエーションを増やして多くの学生の興味を惹き、受験数増加を狙う学校も増えました。

まず、音楽療法の勉強が出来るコースが増えました。

高度な演奏技術で無く「音楽を使って人の役に立つ」という面が強調されている学科なので、演奏がそこそこ出来て福祉にも興味を持つ学生に人気のコースとなっています。

また、増えているのがバレエ専攻のコースです。

今までは、バレエを専門的に勉強したいと思ったら、海外のバレエ学校へ留学するしか道が無くそれが許される状況でないと諦めるしかなかったのですが、音楽大学でバレエが専攻出来るようになり、バレエを愛する多くの学生が国内で勉強出来るようになったのです。

これは、とても喜ばしい事です。

同様に、ミュージカルのコースも増えています。

ダンスをずっとやってきたので極めたい、文化祭でやったミュージカルの経験が忘れられないのでプロを目指したい、という学生に門戸を開いています。

ミュージカルスクールや専門学校はありましたが、音楽大学でミュージカルを学ぶ事により、設備の素晴らしい舞台で、一流の演奏、演出により本番を経験出来るのが、従来のスクールよりもかなり有利な点です。

そして、最も新しい挑戦としては、アメリカ式リベラル・アーツとして音楽を学べるコースを作った音大が出来た事です。

専門家ではなく、教養として音楽を学ぶ事を目的としています。

授業は英語で行われ、近隣にある偏差値の高い有名大学との単位互換も行われる、という事です。

このシステムを取り入れることにより、高偏差値の大学に行くような学生も、その音大に入学してくれるようになるのでは、という大学側の狙いがあります。

昔は「一部の選ばれた人」のための音楽大学でしたが、少子化により、幅広く門戸を開く事になりました。

今後の課題としては、いままで就職活動にはあまり協力的でなかった音楽大学が、教養のために音楽を学びに来る学生が就職の時に困らないようにサポート体制を整えてあげる事でありましょう。